明けましておめでとうございます。2002年が良い年になりますように。
2002年の1月号は、久しぶりにゲスト登場です。フェニックス市にオフィスを構えるジェームズ・ペック弁護士に環境法、特に小規模企業における環境上の配慮についてお話いただきます。皆様の中にはレストラン、車両修理業、美容院などの経営に携わったり、化学会社などにお勤めの方々もいらっしゃることでしょう。日常の業務の中で連邦法、アリゾナ州法に規定される環境基準の遵守に留意しなければならないことも多いでしょう。環境法の専門家であるペック弁護士に、どのような点を考慮すべきか解説していただきました。下記の記事は、英語で書かれたものを私が翻訳しました。
みなさまもご存知のように米国では厳格な環境保護諸法があります。土壌、大気、水などを汚染する汚染物質、廃棄物などをコントロールするための法律が、網の目のように複雑絡み合っています。これらの諸法の中には、民事事件として違反者に対し1日当たり10,000ドルから2万5000ドルの罰金を課すという条項を有するものもあります。時によっては、法律に違反して汚染をもたらした張本人として企業が数百万ドル、数億ドルという単位の罰金を課され、重役たちが刑事罰の対象になった、というような報道が新聞やテレビに出ます。このような重大な違反は、資源開発・生産、一般製造業に携わる大企業のみが対象になると思われがちですが、実際は環境法違反で罰せられる企業は、いわゆるフォーチュン500の会社ばかりではありません。環境法違反への罰則規定が厳格であることを考えると、小規模企業も自社が環境法上の遵守の問題を抱えていないか確認する必要があるでしょう。
基本的には環境法は、業務上必要なインプット(原料や半製品など)と業務の結果生じるアウトプット(製品、廃棄物など)をコントロールします。特に注意を要するのが、廃棄物です。職場の環境(特に職場で勤務する人々の健康に関わる問題)については、環境法ではなく職場の安全性を規定する別の法律が関わります。
環境法の遵守について考察するためには、まず第一に業務上の生産過程の中で原料・材料、半製品などがどのように動くがを追跡します。上記のインプットとアウトプットのリストを作成し、これらのリストをさらに詳細に、製品、廃棄物、原料、材料、半製品、リサイクルする原料、材料、半製品などに区分します。次ぎにそれぞれの「流れ」を個別に分析し、関連環境法の各条項を遵守しているか否かを確認します。
インプットは、環境法上の観点から見るとアウトプットと比べてコントロールされている割合が比較的少ないということができるでしょう。しかし、特殊な業種、つまり廃棄業者、殺虫剤取り扱い業者などに対しては、政府が免許を付与するという形でインプットをコントロールしています。危険物質または石油製品の貯蔵などに関しては、一般的な法規で管理・統制します。大気中に法に定められる一定量以上の危険物質を放散・排出するような業種では、それぞれの連邦法、州法、その他の地方政府の条例に則って報告する義務を負います。届け出なしで許容される危険物発散・排出の量は、1ポンドから5,000ポンドまで物質の種類によって異なります。
アリゾナ州法は、地下に危険物または石油製品を貯蔵する者はArizona Department of Environmental Quality (ADEQ)への報告義務を負うと規定しています。これらの地下タンクは全て、州法上のガイドラインに従って定期的に漏れがないか確認検査し、漏れが見つかった場合には報告しなければなりません。石油製品を地上または地下貯蔵する者は、漏れがあった場合に湖、川、などに流れ込む危険があれば事前に漏れた物質をどのようにコントロールし対策を取るかについての計画を策定することを義務づけられます。
環境法が特に力を入れてコントロールしようとするのは、製造工程などから生じるアウトプット、特に廃棄物です。このような廃棄物をコントロールする法律は、大気汚染、排水、固形危険廃棄物関連の諸法と大きく三つのグループに分けることができます。アリゾナ州においては、大気汚染は各郡およびADEQが付与する許可によってコントロールしています。大気中に廃棄ガス・物質を排出する過程はほとんど全てこの許可制の対象となる可能性があります。排出過程の種類、排出物質の量、毒性などにより、一定のコントロール技術および排出モニターリングが要求されることもあります。
廃・排水については、連邦水資源汚染防止法(Clean Water Act)の下でNational Pollution Discharge Elimination System (NPDES)が許可業務に携わっています。汚染源の汚染の原因となる廃棄のほとんどが、パイプ、運河などからの廃棄ですが、それぞれNPDESからの許可を必要とします。許可の種類によっては、全国的な許可が必要な場合もあり、その条件として通知書、遵守宣言書などを提出しなければなりません。また、個別に施設毎の許可取得が必要な場合もあります。市営の排水システムに廃・排水を流す場合には、廃棄する場所、廃棄物の量、質によって当該市当局からの許可を必要とします。
固形危険物の取り扱いについても注意が必要です。小規模企業でも、危険廃棄物を排出する場合が多々あることでしょう。何が危険廃棄物であるかという定義については、環境庁(EPA)のリストに掲載されています。このEPAリストに危険物として記載されていない場合でも、物質によってはその点火性、腐食性、反応性、毒性によっては「危険物質」と規定されることもあります。一定の月にどの程度の量の危険廃棄物を排出するかに応じてそれぞれの排出者に対する遵守要件が異なります。ある月に220ポンド以上の危険廃棄物を排出する者は、それらの廃棄物の生成、貯蔵、廃棄に関してさまざまな放棄を遵守する義務を負います。排出量が220ポンド以下である場合は、この排出者は排出を適正に行う限り「条件付き」で遵守規定から除外された者と見なされます。
今回の記事では、小規模企業に関わる環境法についての簡単な概要を説明しました。「備えあれば憂いなし」の喩えのとおり、環境法の遵守に関しても予防措置が最も効果的です。環境法の遵守も、他の法律の遵守の問題同様、大変複雑です。連邦・州・郡の環境法自体が複雑に絡み合っており理解が難しいのと同時に、実際に自社が環境法を遵守しているか否かの評価も複雑で専門知識を要します。環境法の専門弁護士と環境エンジニアなどの専門家チームの利用が有効です。環境法に違反して罰則の対象になると、ビジネス上大きな損失をもたらします。十分に注意し、環境法を遵守しましょう。環境法を完璧に遵守することにより、政府諸機関に対する信用も増し、社会的なイメージアップにもなります。
ジェームス・ペック法律事務所
James Peck, Attorney at Law
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