新しい移民雇用規制


新年おめでとうございます。

先回2008年1月から施行される予定の移民雇用・法関係の規則変更とアリゾナ州で独自に成立した新法についてお話ししました。今回は、2007年12月末の時点での成り行きについて見てみました。結論的には、アリゾナ州裁判所における(House Bill 2779:Arizona Revised Status Amendment Section 13-2009、Title 23, Chapter 2 修正)に対する挑戦については、2007年12月21日にアリゾナ州連邦地方裁判所ウェイク判事が同法について「一時差し止め命令を出す理由なし」と判断しました。つまり、2008年1月1日からの同法施行を止める法的な拘束は得られなかったということになります。裁判所の判断としては、まだ同法が実施されていない段階で実際に「同法により権利の侵害を受けた」と思われる者が存在しないので、実質的に法的な判断を下すには時期尚早であるという立場を採用しました。

この判決を受けて原告として訴訟を起こしたビジネス団体やヒスパニック団体などは連邦高等裁判所(サンフランシスコ所在の第9巡回裁判所)に控訴するという意思表示をしています。2008年早々にこの控訴審の審理が予想されます。

同法に対する挑戦として訴訟を起こした原告側の主張は、同法が米国憲法第14条により保証される「Due Process(いずれの者も適正な法的手続きを経ることなく生命、自由、財産を奪われることはないという原則)」に反する、連邦法がSSAデータベースを使用して従業員の法的地位を確認するというプログラム(E-Verify Pilot Program)への参加を雇用者の自由参加としている状況においてアリゾナ州法が13万から15万あるといわれる全雇用者の参加を義務付けている点が州法による連邦法の不適正な適用(過剰適用)であり違法性がある、またこれらの雇用者がE-Verifyプログラムを実施するに当たり1億5,000万ドル程度の費用を負担しなければならないこと、同法の実施により罰則の適用を恐れた雇用者が違法移民、合法移民、ヒスパニック系などの米国市民のいずれかを問わず、少数民族系で疑いのある者を解雇するという現象、つまり差別を奨励することなどを理由に同法の違法性を強調しています。

2008年1月1日から施行となる同法については、1月1日以降に違法移民を意図的にまたは知りつつ雇用した場合に雇用者が罰せられるという解釈が一般的ですが、保守的な政策で知られるマリコパ郡司法長官であるアンドリュー・トーマス氏は、同法が2008年1月1日より以前の雇用についても遡及的に適用されると主張し、その解釈に基づいて取り締まりを行うと述べています。適用される期間についても複数の解釈が混在するため、同法の適用には相当な混乱、また法的挑戦が予測されますし、連邦高等裁判所における審理の結果も注目されます。いずれの側が勝訴しても、反対側がさらに最高裁判所に控訴する可能性が高いため、アリゾナ州法について最高裁判所で争われることになるかもしれません。今後裁判の成り行きのみでなく、実際にアリゾナ州を離れる違法移民の数が増えているという報道がある中、それがアリゾナ州のサービス業、農業、建設業など、そしてアリゾナ州全体の経済にどのような影響を与えることになるのか成り行きが注目されます。