クレジットカード関連の連邦規制改正


今回は、クレジットカード関連の連邦規則改定についてお話しましょう。1か月ほど前から話題になっている銀行、投資銀行など金融機関の救済のためのいわゆるBail Out(総額で7,000億ドルという気の遠くなるような額)と比較対照すると政治家たちの優先順位が明確に分り(今回は議会ではなく、ブッシュ政権の下でFederal Reserveなどのイニシアチブで規制改正となりました)、興味深いところです。

12月18日にこのクレジットカード業界への新しい規制が成立しました。しかし、喜ぶのはまだ早い。。。。というのは、何とこの規則改変は実施されるのが2010年の7月からなのです。金融機関のBail Outは「銀行が崩壊する、貸出資金が枯渇して企業や個人が困る、世界経済が崩壊する。。。」と大騒ぎした結果、あっという間に実施されたのと比較すると「えっ」と思うのは私だけではないでしょう。「何で1年半以上待つ必要があるの?!」という声も聞かれそうですが、何故実施が1年半以上後になるのかという説明は見当たりません。1万6,000社余りあるといわれるクレジットカード発行会社の政治的圧力の結果とみるのが妥当でしょう。

すぐにご利益はないとしても、どんな改正となるのか、概要をみてみましょう。主要な改正点としては、(1)クレジットカード会社がこれまで行ってきた、債務に対する利率を後の時点で一方的に変更(もちろん、ほとんどが上昇、例えば7.99%の利率で借りた金額に対して、一方的に理由を説明することなく、カード会社から利率が17.99%になったとか、29.99%になったとか通知される場合など)することが禁止されます。(2)いくつか異なる利率の債務がある場合(キャッシュアドバンスの利率、買い物代金の利率など)、これまではカード会員が部分的支払を行った場合、利率の低い方から支払った金額が返済適用されましたが、改正後は、利率の高いものからの返済となります。(3)クレジットカード利用契約の条項に変更が実施される場合は、少なくとも45日前(現在は15日などという例が多い)に通知されなければならなくなります。(4)支払遅延の罰金は、請求書が到着してから少なくとも支払い締切り日(Due Date)まで21日経過しなければ課せないなどです。

消費者連盟の推定では米国中の消費者が抱えるクレジットカード債務は8,500億ドルに及び、この額は1990年の時点と比較すると4倍になっているということです。

Morrison & Foerter法律事務所の調べでは、今回の法規改正でクレジット業界が被る損失(?!)は年当たり100億ドルに及ぶということですから、一般消費者に分りにくい利率変更、支払遅延の罰金、支払期限の設定などの「からくり」により、クレジット業界が大きな利益を挙げていたことが明白です。法改正の実施が2010年7月になってからということですから、実施までの間に、クレジット業界は「失われることになった利益」を補填すべく、別の「からくり」を考案する時間を猶予期間として与えてもらったでしょう。

最近読んだニュースから新手らしいものを拾ってみると、カード会員がどこで買い物をするかData Miningで分析し(つまり、Wal-Martでショッピングしているか、ニーマンマーカスでドレスを購入しているかというようなことを分析して会員をクラス分けする)、その結果、突然クレジット上限額が一挙に10分の1になったり、利率が急上昇したというような例があるようです。不景気なご時世、カード会社も必死で「取りはぐれ」が無いように努力をしている結果でしょう。うっかりGoodwillなどで古本を買ったりできなくなりますね。クラス分けされるのを回避するには、現金で買い物するなどという消費者側からの防衛策もありますが。。。。

結論としては、今回の規制改正は、現在クレジットカード債務に悩んでいる人々には、今すぐには何もご利益はありません。

この改正に関して意見を募ったところ6500通の消費者からのコメントが集まったということです。議員への苦情申し立てなどを行えば、実施日の前倒しなども可能かもしれません。

これは私自身の経験ですが、クレジットカードの詐欺に遭遇し、カリフォルニア州の訪問したこともない町の泊まった覚えのないホテルの支払についての請求書が送られてきて、10数回クレジットカード会社に「これは詐欺である」と連絡しても、請求書が送られ続け、数か月のうちに支払遅延として罰金が付き、とうとう100ドル以上の罰金等になってしまいました。毎月、請求書を見て憤慨し、クレジットカード会社と連絡を取るという作業をしていて、「こんな思いをするなら、払ってしまった方が楽になる」と一瞬思ったこともありました。しかし、「それがカード会社の狙いだ。妥協してはいけない」と思い続け忍耐の限界まで努力しました。何も効果がないので最後には、クレジットカード会社や銀行に関する監督政府機関であるComptroller of the Currencyに手紙を書き、そのコピーをクレジットカード会社(この場合は、Citi Bank)に送付したところ、Citi Bankから丁寧に「今回の件は片付いたので安心してください」という手紙が届き、請求書は送られてこなくなりました。その間のエネルギーと時間の浪費は、考えると気分が悪くなるくらい無駄なものでした。皆様も同じような目に遭遇しているのではないでしょうか。今度、そのような経験をした場合には、カード会社などに苦情の電話を何度も何度もかけるより、下記のオフィスに連絡を取ってみてはいかがでしょう。このオフィスに書いた手紙のコピーをクレジット会社や銀行に送付することをお忘れなく。効果は抜群です。泣き寝入りは止めましょう!

Comptroller of the Currency
Administrator of National Banks
Customer Assistance Group
1301 McKinney Street, Suite 3450
Houston, Texas 77010-9050
Tel:800-613-6743 Fax: 713-336-4301
Internet address: wwwhelpwithmybank.gov

失業者が米国中の町に溢れ、アリゾナでも数万件のForeclosureが起こっているという2008年末となりましたが、2009年が新しいオバマ政権の下で、少しでも経済回復の良い方向に動きますように祈りつつ、また皆様のご健康とお幸せを祈りつつ。。。良いお年をお迎えください。