ホームレス


新年おめでとうございます。

2014年最初の記事をお届けするに当たり、明るい希望に満ちた話題を選ぼうと考えましたが、そんなトピックを見つけ出すのは容易ではないほど世の中には問題が溢れています。戦争、環境問題、食べ物の安全、プライバシーと政府による情報収集、などなど。

やっと見つけた明るいトピックは、地元フェニックス市の出来事です。2013年クリスマスの日を境に退役軍人ホームレスの人たちの全てに住宅を提供し、少なくとも退役軍人に関してはホームレスは皆無となったというニュースです。フェニックス市は全米で最初に退役軍人のホームレス状態を撲滅したというのです。街を散策していたり、高速道路の入り口の交差点でホームレスの人から「小銭をください」と懇願された経験がある方も多いと思います。特に退役軍人のホームレスの方たちと出会うと、それぞれベトナム戦争、第一次湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争という一連の戦争の是非は別として、祖国のためと信じて従軍後帰国し社会に再適応することができないままになってしまったという歴史が思い起こされ、「使い捨て」された人たちが大変気の毒に思われます。まだ幼かった頃、日本の町のあちらこちちらでアコーディオンなどを弾きながら白衣に身を包んだ傷痍軍人の人たちが寄付を呼び掛けていた姿を思い出します。

オバマ政権による退役軍人ホームレス撲滅宣言

2009年オバマ大統領は、Veterans Affairs SecretaryであるEric Shinsekiを介して2015年までに退役軍人ホームレス状況を解決すると宣言しました。(Scott Keysによる記事。「ThinkProgress」2013 年12月23日)退役軍人局(VA)は、その後諸々のホームレス撲滅を目的とする組織や地方政府当局と協力しホームレスの退役軍人に住宅を提供するサービスを展開してきました。VAによると、2012年1月現在62,619人のホームレス退役軍人がいたということです。その後ホームレス退役軍人の総数は次第に減少し、最新のVAによる統計では5,7,849人になりました。(同上)VAはホームレス関連プログラムに14億ドルの予算を配分しました。Department of Housing and Urban Development (HUD)とVAはこれまで様々なホームレス撲滅運動に携わる地域グループに数十億ドル資金を提供し、2013年7月にはVAが300以上のコミュニティー組織に総額3億ドル資金を付与しました。(Washington Post誌2013年12月20日記事)。

また伝統的に実施されていた「まず薬物・アルコール中毒症状を解消した者に優先的に住宅などのサービスを提供する」という方針を逆転させ、「まず住宅を提供してそれから中毒症状などを解消するためのサービスを提供する」方針に転換しました。

2010年には222人のホームレス退役軍人がいると報告されていたフェニックス市も、上記の新しい方針を採択し、2013年クリスマス直前に最後までに残っていた56人のホームレス退役軍人に住宅を提供し、フェニックス市の退役軍人ホームレスはゼロとなったのです。フェニックスはスタントン市長のリーダーシップの下、この最終段階に10万ドル投入することによりこれらの人々がクリスマス前にそれぞれの住宅に入居できるようにしました(Washington Post誌2013年12月20日記事)。

私自身も、最近サンフランシスコのゴールデンゲートパークに行く機会がありその時も、公園の入り口の芝生の上で野宿し、朝になってグループでカトリックのシスターたちが配る朝食とコーヒーを楽しんでいた数十人のホームレスの人たちに出会いました。こんなに多くのホームレスの人たちを生み出してしまう社会は一体どうなってしまったのだろうと考えました。最近では日本の戻った際にもホームレスの人たちの姿を見ます。

新しい年を迎えるに当たって「何か明るいニュースは無いものだろうか」と探していた時に、フェニックス市が退役軍人のホームレス状態を撲滅したというニュースを読み、ほのぼのとした希望を見つけました。このような解決を実現するために大きな努力を払った組織や人々に感謝の気持ちを感じると共に政府政策の大切さを感じました。ボランティア精神だけではこのような大きな問題は解決できないでしょう。私たち一人一人が何かできることを見つけるということも大切ですが、今度は退役軍人のみでなく、彼らを標的にしたプログラムの成功をモデルにして一般のホームレスの人たちにも住宅を提供できる、特にホームレスの子供たちの存在をなくすためのプログラムを政策として実施して欲しいと思います。2014年がそのような努力が大きく前進する年であって欲しいと願わずにはいられません。今年の冬は暖かいはずのフェニックス周辺でも摂氏で零下になる朝を迎える日々がありました。暖かい家の中から外にある温度計に目を向ける時、こんな朝ホームレスの人たちは寒いだろうなと思いました。全てのホームレスの人たちが冬は暖かく、夏は涼しい家に住めるようになることを祈ります。

2014年がみなさまにとって良い年でありますように。