日米二重国籍


今回は、日米二重国籍について相談を受けた件につき、相談内容と回答をそのまま掲載し、皆様のご参考にしていただこうと考えました。米国に居住する日本人の中には数十年グリーンカードのまま、日本国籍を「死ぬまで」(これは良く聞く言葉)保持しようと「決意」しておられる方々が多いようです。私も長い間(30年以上)グリーンカードを保持し米国籍を取得するということは考えませんでしたが、最終的に2004年に米国国籍を取得しました。以下の相談者の悩みは、米国に居住しながら、年老いた両親の介護などで日本に長期滞在しなければならなくなった方々に共通の悩みであろうと思います。また今は問題がなくても将来的に、相談者と同様な状況になる可能性は多くの米国在住日本人に共通と言えましょう。

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[相談者]

近藤様、はじめまして。

突然のメールお許し下さい。
私は現在、アメリカ人の夫と一緒にアメリカと日本両国に住むXXXと申します。

去年から日本に住む母親が入院の為看病が必要となり、去年半年、今年も日本に長期で帰国していましたが、グリーンカードを保持するのが難しくなってきました。 (グリーンカード保持して15年です)

日本からアメリカへの入国は主人と一緒でしたが、「今年はこれ以上アメリカから出ると永住権は没収になるので気をつけるように。」とイミグレーションで注意されました。(グリーンカード保持者は180日以上アメリカに居住しなければならないとのことです)

今回も母親はまだ退院しておらず、本来なら私はまだ日本に残るべきでしたが、
それ以上滞在すると私もグリーンカードを失ってしまうので、入院中の母親には酷でしたが、仕方なくアメリカに戻りました。

アメリカの市民権、二重国籍についてネットで色々拝見しましたところ、アメリカの国籍をとった時点で国籍は自動消滅している、とか、パスポートの更新で嘘を書くと法律違反になる。こういう記事を読み、私は日本の国籍を捨てることはできないのでかなり迷いました。

そこで、近藤様の「オアシス」の記事に巡り合い、とても心強く感じました。
私の友達にも市民権を取り、両方のパスポートを持ってる人もいますが、ほとんどがアメリカで暮らしてる方で、里帰りに1−2年に一度帰るだけなので今まで何の問題もなかったそうです。

しかし、相談してみると私のように両国で半々に暮らす状態だと、日本でばれる可能性があると聞きました。あまりアメリカの出入国はしない方が宜しいのでしょうか?

両方のパスポートを維持することは大丈夫だろうかととても不安ですが、万が一日本の移民局で止められた時、パスポートを没収されるようなことになれば何か方法はあるでしょうか?

勝手ですが、万が一空港でパスポートを没収されそうになった時、何か方法はありますでしょうか?

親と夫をどちらか選択しなければならないなんて有り得ない選択ですが、今のアメリカの永住権保持者は同じような状況の方も多いと思います。

あと、パスポートの更新で、外国の国籍を取得してないか?という質問は二重国籍の方は「いいえ」と書いてるのでしょうか?

お忙しいところ申し訳ございません。もし、お時間の空いた時がございましたら、
わかることがありましたら教えて下さい。失礼します。

[近藤回答の1]

お便りありがとうございます。

二重国籍についてのやりとりは「オアシス」Websiteからまたは私のyurikondo.comウェブサイトでやりとりの一部始終が掲載されていて読めるようになっているはずです。

ご参照ください。

結 論的には、日本の国籍法は厳密にいうと、おっしゃるとおり、日本人が自分の意志で外国の国籍を取得した時点で日本国籍は「消滅」するとなっていますが、自分が届け ない限り、日本政府側からは分かりません。米国は一部の国(ドイツなど)と異なり、自国の国籍を取得した日本人について日本政府に通告しませんので、あな たが『米国籍を取得したので日本国籍喪失しました」という届けを出さない限り、日本政府が自動的にその事実を知ることはありません。

また、これまでにそのようは状況に なった日本人が日本の国籍を無理矢理に剥奪されことはありません。

私は「確信犯」で「二重国籍」の勧めの記事を書いたりしていますので、日本の領事館などから 注目されて「国籍喪失の届け」を出すように、領事館の当局の人から届け出の書類を渡され、「届けてくださいね」と勧告され、「書類をいただい ておきます」と言ってから、数年、日本に入るときは日本のパスポート、米国に戻るときは米国のパスポートということで出入国を繰り返してきましたが、問 題はありません。パスポートを更新する(日本の)際には、日本でしていますが、きかれたら「米国国籍もある」と答えたこともありますが、問題はありませ ん。

あなたの場合、問題になるのは、かなり長いこと米国を離れているので、米国国 籍取得の障害になる可能性が大きくなりつつあるということです。状況が今のように逼迫する前に米国籍を取られておいたほうがよかったですね。米国国籍の申 請をする際には、米国に物理的にいる必要があります、確か過去3年間に米国に一定の期間いたということを証明する必要もあります。。。。この辺が今の あなたの状況では問題と思います。

また米国を離れる必要があった際に「親の看病」ということを「再入国許可証」を取ってから日本に行くこともできたはずです。2年間まで問題なく日本に滞在できるはずです。

メールのやり取りで全てを説明するのは大変です。

上記のやりとりをお読みください。

近藤ユリ

[相談者通信2]

近藤さま、
お忙しい中、お返事有難うございました。
市民権申請条件は、過去3年の間18ヶ月アメリカに住んでることなので
何とか日数は足りてます。

あと、市民権を考える前、2年の再入国許可書を考えてましたが、万が一延長したい場合、再申請では許可が下りないことがあるそうです。また、再入国許可を取得した後は、米国に2年在住してない為、すぐ市民権を取ることはできないので最終的にもう市民権しかないと考えました

近藤さんのOasis記事を繰り返し拝見しました。今まで日本国籍を失うのが怖く市民申請できませんでしたが、米国籍を取得しても、何としても日本の戸籍は自分で守ろうと思います。

お忙しい中、お返事を頂き有難うございました。また、Oasisの記事、本当に有難うございました。とても心強く思います。

[近藤ユリ 回答2]

即時 米国国籍申請なさることをお勧めします。日本のパスポートを再申請する場合は日本ですること!

近藤ユリ

[相談者 通信3]

了解です。
テストに合格するよう頑張ります!
本当に有難うございました。

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二重国籍(多重国籍)を認めるよう法改正を求める運動は、「国際結婚を考える会」などにより署名を集めて国会議員に提出するという形で継続的に行われています。結婚などにより自ら他国の国籍を取得した日本人に対して「自動的国籍喪失」となる条項、また二重国籍者として生まれた日本人が22歳までに国籍選択しなければならないという条項を廃止するよう法改正を求める運動です。お隣の韓国などもすでに二重(多重)国籍を認めるよう法改正済みです。本当に二重(多重)国籍は日本の国益に反するものなのでしょうか。また二つ、三つの国に血縁、結婚による関係を有する日本人、その他長年他国に居住するが今回の相談者のように年老いた両親が日本におり看病などの目的で日本に長期滞在を余儀なくされる日本人たちが、日本に長期滞在するが故に長年居住してきた(配偶者の国である)米国やその他の国での永住権を失うことになるというような状況を回避するためにその国の国籍を取得するという事情に対して、これを法律で禁じる必要が本当にあるのか、もう一度具体的に当事者たちの事情も考慮して再考する時がきたのではないでしょうか。日本政府にもより柔軟で理解ある法改正の動きを期待したいものです。時代の流れ、人々の必要に応じて法律も変わる必要があると思います。2020年のオリンピック東京大会が決定しましたが、二重国籍者が何ら制限なく公式に認められるようになれば、他国に生まれ育った「日本代表選手」たちが多数出現するかもしれません。そんなことがあってもよい時代になっていると思います。