10月も末というのに、まだ100度を越える日が続き、こんなのは「残暑」というイメージとも違うし何て呼ぶのだろうなどと考えてしまいますが、皆様お元気ですか。
今回は、自動車ローンについてお話いたします。皆様の中にも自動車のディーラーに出かけられて車をローンで購入なさったことがある方も多いでしょう。このようなローンはクレジットカードなどの借金と比較すると何が違うのでしょうか。自動車購入ローンは、購入した自動車自体がローンの担保になっているところがクレジットカードのようないわゆる無担保ローンと異なる点なのです。前者は英語ではSECURED LOAN(担保付ローン)と呼ばれ、後者はUNSECURED LOAN(無担保ローン)と呼ばれます。
まだまだ経済が回復気味とはいえ、全米、またはアリゾナのみを見ても経済の回復の進み具合と雇用数の増加とは正比例関係にはないようです。業界によっては雇用数の減少の方が増大数より多い、つまり失業者の数が増え続けているというのが現状です。このような厳しい状況においては、消費者つまり私たちは厳しい生活を強いられることもあります。また、急な出費(家族の病気、事故その他を原因とする)のために毎月の家計のやりくりが滞ってしまうこともあるでしょう。家や車のローンを払い続けながら生活するというのは、ごく普通の人々の日常です。またクレジットカードを使用しながら、種々の支払いと家計のバランスを取るなどというのも当たり前のことです。
今回はこのような普通の生活の中で注意をしなければならないことについてお話しましょう。
前述のように、ローンには無担保と担保付の二種類があります。特に担保付のローンに焦点を絞り、自動車のローンを例に取りお話しましょう。皆様も、旅行に出たり、家族に病人がでたり、日本に急用で里帰りしたり、忙しすぎて月々支払いをしなければならない項目が沢山あるのに、それらが支払われないままに請求書が山済みになっているなどという経験をされたことがあるかもしれません。また、失業、病気、事故その他の急な出費で支払いをしたいのに現金が手元にない、という状況に置かれたことがあるかもしれません。そのような場合に、何を優先し行動しなければならないのでしょうか。避けなければならない行動、つまりこれをしてはならないというようなことがあるでしょうか。何回くらい支払いが遅延しても、「取り返しがつかないこと」にならないと思いますか?
1回支払いが遅延すると、いわゆる「延滞」となるわけですが自動車のローンやその他の担保付ローンの場合、どの位の期間延滞が許されるのでしょうか。支払いを2回分遅延するとどうなるのでしょうか。3回遅延するとどうなるのでしょうか。クレジットカードなどではいわゆる「ミニマム・ペイメント額(最低支払い額)」というのがあり、これを支払い続けている限り、クレジット・カード会社は文句を言わないどころか、「最も利益の大きいお客さん」として喜んでもてなしてくれます。これほど良いお客はないのです。みなさまもご存知のとおり、この最低支払い額を払い続けていると「永遠。。。少なくとも永遠と思われる位に長期間」ローンの支払いを続けることになり、借りた額と比べて膨大とも思える額を返すことになり、残額はなかなかゼロにならないのです。しかし、自動車ローンの場合にはどうでしょうか。自動車、冷蔵庫、家具などの担保付ローンを借りると通常毎月同額を一定の期間払い続けてローンの返済をするという契約内容・システムを採用しています。つまり、最低支払い額に当たる部分がこの額であるともいえますが、クレジットカード・ローンの最低支払い額と比較すると、商品の購入額と比べてはるかに大きな割合の額に設定されています。3年、4年などとローンの返済期間が決まっているからです。クレジットカード・ローンの場合にはそのような期間の設定はなく、ミニマムを払い続けている限り多くの場合、4、5年支払いを続けても容易に残額は減って行かないでしょう。
家計が苦しくなると、このような毎月のローン返済額の支払いができなくなってしまうという状況が起こりえますが、その時にはどのようなことが起こるのでしょうか。1回の延滞では、催促も来ない場合が多いかもしれません。しかし、2回延滞となるとローン提供会社も何らかの連絡を取ってくるでしょう。電話がかかってくるかもしれません。単に、次月のローン支払い請求額の欄が倍になっているというだけかもしれません。3回遅延となると、いろいろと大きな変化が起こる可能性が大です。ローン会社からの電話や手紙で「xx日までに支払いを行わない場合は、「ローン回収部門または会社」に書類を回してしまいますよ」という半ば脅しの通知がくるでしょう。それでも支払いを遅延していると、担保そのものを回収にくる可能性があります。自動車の場合には、「XXに電話をするように」などという通知がきて電話をすると「明日あなたの自動車を差し押さえに行きます。邪魔をすると逮捕します」というようなことを言われるでしょう。そして実際に「差し押さえ屋さん」が警察官と共に訪れ、自動車をレッカー車で持って行ってしまうというようなことが起こります。車庫に鍵を掛け家の中にいたりすると、車庫のドアを壊して自動車を無理やりに持っていったというようなことも過去に前例としてありました。その場合、ドアを壊した当人は当局のお咎めもないようでした。このような事態になってしまったら、拳銃などを持った警察官・保安官などが共にくるわけですから、邪魔をすると公務執行妨害で逮捕されてしまったり、「抵抗した、警官が身の危険を感じた」などという理由で撃たれたりする危険もありますので、抵抗は禁物です。
このような状況に至ってしまうと、これをうまく解きほぐして自動車を取り戻すのは至難の業となります。そこで、ここに至る前に何かできることはないでしょうか。まず、最も重要なことは、家計が何らかの事情(失業、家族の病気、不在、事故その他)でローンの支払いを許さなくなった場合、または物理的に不在で小切手を書いて郵送できな場合、相手側つまりローンを提供した会社、自動車ローンであれば「XXXファイナンス」などという自動車会社のローン子会社の係り(カスタマー・サービスなど)にすぐに連絡を取り、ローンの支払いを無責任に放置しているわけではなく、困難な事情があることを丁寧に説明し、支払いを待ってもらうように依頼します。もし支払い額が月間500ドルであれば、「500ドルは支払えないが今月は150なら支払える」というように数ヶ月減額してもらうなど、連絡を取ることにより、全て自動化・コンピュータ化されたシステムがあなたのローンを自動的に「回収(Collection)部門」に回されたりしないようにすることです。一度システムが自動的に動き出すと、それを逆転させて「普通の状態」に戻すことは「不可能か極めて困難」となります。
もっとも避けたい行動とはどのような行動でしょうか。家計が困難な状況になってしまったこと、失業してしまったことなどで気落ちして、ローンの支払いができなくなってしまったことを苦にし、恥と思い、ローン会社に連絡を取ることもできず、ひたすら問題を忘れようとしたり、無視したりすることです。考えないようにしたり、無視したりしても問題は解決せず、ますます大きくなって行くということをお忘れなく。連絡を取らないという事実は、相手、つまりローン会社から見ると「知らん顔して支払いの約束を破り、それに対して何の説明もしない人」または「支払う能力も予定・意図もないのに自動車を購入した人」というレッテルを貼られてしまうことになります。このようなレッテルが貼られ、相手側から見て「判断済み」になってしまい一定の期間が過ぎると、いわゆる「回収屋(Collection Specialist)」のところに事件の処理が移ってしまいます。
ここからは、消費者・借り手がローン会社のカスタマー・サービスの人と話すようなわけには行きません。少なくともローン会社は消費者に自動車を購入してもらいたいのでローンを提供するわけですから、購入者がローンを支払い続けてくれることが一番よいわけです。しかし、回収屋というのは、独立した会社であったり、回収専門の弁護士事務所であったり、その両方の組み合わせであったりしますが、彼らなりの至上命令は、回収を通して「金儲け」をすることですから、もし回収に回ってきた自動車物件を全て売ってしまい、その挙句に取り扱い手数料と弁護士料をローンの借り手に請求することが利益を最大化する手段として最も効率的であるとすれば、その目的に最も都合の良いシステムを構築するでしょう。具体的現象としては、自動車をレッカー車で持って行かれるまでに延滞している金額を支払おうとしても、電話が通じない、通じても留守電のみで埒があかない、メーセージを秘書に残しても係りの者または弁護士などからは何も連絡が来ない、というようなことが起こるでしょう。意図的に「連絡が付かない状態にしている」のではないかと思われるくらいに連絡を取ることができません。書留郵便で延滞額を即刻支払っても返送されてしまうなどという場合もあるでしょう。支払いをしたくても「受け付けてくれなくなる」状態となってしまうのです。支払いシステムの枠外にはじき出された結果でしょう。どうしてよいか分らず、右往左往している間に時間ばかりが経過して、「期限」が過ぎてしまい、レッカー車登場の場面を迎えてしまうことになります。そして、レッカー車で自動車を撤去された後指示に従ってそれを取り戻そうとしてもなかなかうまく事が進みません。そうこうしているうちに、ローンの残額を全額揃えて「XXX日までに支払う」ことを要求され、それができない場合は「規定に従い」自動車は競売となり(しばしば競売で得られる売却額はブルーブックにある市場価格より低いでしょう)、自動車を取られてしまったローンの借り手のところに突然数千ドルの請求書が舞い込みます。請求書には、自動車の売却額からローンの残額、手数料、XX料、その他の料金を差し引くと不足分XXXXドル、よって即刻(通常1ヶ月以内など)支払うようにと書かれてあります。これまで数年ローンを支払ってきて、3回位延滞したのみで自動車を取られてしまい、挙句に数千ドルの請求がくるという事態はまさに「泣きっ面に蜂」でしょう。また経済的にも大きな負担です。
ここまで来てしまうと、回収屋を相手に法的に挑戦することも容易ではありません。いわゆるFINE PRINT(契約書の中で人間の目で読めないくらい細かい字で書かれている部分。しばしばこの部分に最も重要な項目、そして最も消費者に不利な項目が書かれています)に書かれてある条項に少なくとも形式的に違反しない形で回収・競売処理・請求をしているので、こちらに勝ち目がないのです。
経済的に困難な状況になり、または物理的に支払いをすることが困難(不在、病気など)な状況になった場合は、早めに相手側と連絡を取り、相手側に自分の状況を説明しできる限り一時的な猶予を願い出るということが大切です。また相手側との交渉や抗議などの過程で弁護士の助けを必要とする場合は、行き着くところまで行ってしまってからでなく、早めにまだ「交渉の余地」がある時期に依頼するようにしてください。そして、最後にもう一つ、いわゆるFINE PRINT (細字で書かれた部分)に何が書いてあるのか契約時によく読み、理解できなければ理解できる人に説明してもらい、納得できなければ解約する位の注意を払ってください。消費者に極めて不利になっている契約書なども存在しますし、極端に消費者の権利が蹂躙されているような場合ですと、裁判所が「社会的常識・良心に反する内容の契約であり無効」という判決を出す場合もあります。その場合は、もちろん、そのような契約に違反しても「違反」ではなくなるわけです。契約そのものが無効ですから。
住宅ローン、自動車ローンなど、多くの人々が恩恵を蒙って生活しているのですが、状況によっては消費者に不利、困難な状況をもたらすこともあります。日頃から自分の権利・義務、システムをよく理解し、大きな損失蒙ったり、不愉快な目に会わないように注意いたしましょう。