保釈なし終身刑


世界中の各地に寒波が押し寄せているようですが、皆さま風邪など引かずにお元気でお過ごしでしょうか。

今回は本日1月25日に米国最高裁判所が出した判決について書いてみます。
ヘンリー・モンゴメリーという囚人がルイジアナ州において少年の時に犯した殺人罪で自動的に保釈なし終身刑となり、今日でも引き続き刑に服していることについて、2012年の最高裁判所の未成年の時に犯した殺人罪(重罪)で自動的に保釈なしの終身刑にしなければならないという規定は米国憲法違反であるという判決が(Miller v. Alabama)それより以前に同様の判決を受けて収監されている囚人にも遡及的に有効であるか否かを問い本日の判決は6対3有効であるとしました。ケネディ判事が今回の判決文を書きましたが、適用の対象となる全ての裁判をやり直す必要はなく、単に仮釈放の可能性をそれぞれの囚人に与えるだけで十分であると結論しています。「保釈なし終身刑」という判決を犯罪を犯した当時未成年であった者については事実上無効にするという意味を持つことになります。

2012年にMiller判決により、いずれかの州が未成年者の殺人罪について自動的に保釈なし終身刑の刑罰を与えること強制する法を制定することは違法・憲法違反であると判断して以来、今日までこの最高裁判決を自州において適用することを拒否してきた州は複数ありますが、中でもルイジアナ、ミシガン、ペンシルバニア州においては今回の判決により1000名以上の囚人に影響が及ぶということです。ケネディは判決文の中で、このような囚人たちの多くがその罪と比較すると保釈なし終身刑という刑罰は重過ぎ、米国憲法違反に相当するとしています。

今回の判決で焦点となった点は、ヘンリー・モンゴメリーのように1963年当時17歳であった者が受けた仮釈放なしの終身刑という刑罰により収監されている事実を2012年最高裁判決に反するものと見做すか否か、つまり2012年判決が過去に遡及的に有効か否かという点でした。一般的には、多くの場合、最高裁判所は事件の争点が実体法上の問題についての事項であれば自らの裁判管轄権が及ぶものとし、事件の争点が手続き法上の問題であれば各州により大きな裁判管轄権を認めるという基準を用いるという原則でした(Teague v. Lane)。今回の最高裁判所の判決においても、事件が米国憲法に関わり実体法上の判断を下した場合は、各州はこの判断を遡及的に有効なものとしなければならないと判断しました。判決文の中でケネディ判事は、子供であった囚人たちは、彼らの犯した犯罪が不可逆的(取り返しのつかない)な罪でない可能性を刑務所の外の人生において示す機会を与えられるべきであると述べています。未成年の時に犯した犯罪がその後のその囚人たちの人生において逆転しその者たちが良き人生を生きることができる可能性を閉ざしてはいけないという主張があります。世界的に見ても極めて多くの若者たち、特に少数民族の若者たち(圧倒的多数が男性)が不均衡なほど多く刑務所に収監され、終身刑や死刑を待つ者たちとして刑務所内で暮らす米国において、最高裁判所においてさえ、罪の大きさと罰の厳しさを比較検討し、未成年の時に重罪を犯した者たちにも別の人生を歩むチャンスを与えるべきではないかという心情とそれらの発露である判決が出るようになったということでしょう。注目すべき傾向です。
(参照文献:クリス・ガイトナー著「バズフィード・ニュース」2016年1月25日付け記事)