最近「日本でもうじき退職するのですが、アリゾナでビジネスを起こしてもう一度チャレンジしたいのですが、どうしたらよいでしょうか」とか、「相当額を貯金しているのですが、日本の金利は実質的にマイナスなので、アリゾナで投資したいのですが、どうしたらよいでしょうか」、「相続税が心配です。米国でビジネスなどをすることにより、次の世代にできるだけ多くの資産を渡すことができないでしょうか」、「そのためにはどのようなヴィザを取得すればよいのでしょうか」というような相談をよく受けます。
 実際に、学校の教師を退職した方々、勤務していた会社を早期退職した方々、日本で年金給付を受けるようになったが挑戦を求めている方々、フリーターを長いことしていたが米国でビジネスをしたい方々など、さまざまな環境の中から、またさまざまな経験を積んだ方々が日本を脱出し米国に来て「夢を実現」しようと最善の方法を求めて模索しているようです。
 仕事の中で出会う方々の中にも、大変ユニークな例が沢山あります。特に印象深いのは、団塊の世代の女性たちが単身、独力で事業を起こし、インターネット、ITを駆使し、新しいビジネスを行っている姿です。日本から単身で乗り込んで、会社を設立、お店を開業する準備をしている女性、日本国内でインターネットを経由して、クイーンサイズ用のデザイナー服、ファッション項目を売るビジネスを展開している女性などお会いすると大変積極的、明るい性格の方々です。アリゾナにも年に数回商品の仕入れに見えます。
 日本の状況がまだまだ経済的に暗く、閉塞状況であることを思うと、元気で明るい、やる気十分の人々は、日本の外に出て、思いっきり活躍してみたい、飛躍してみたい、と思っているようです。そして、年金の先細りが見えている日本の中で「守りの姿勢で生きる」ことに嫌気がさしているのかもしれません。長年日本のゼネコンに勤務しているやはり団塊の世代の友人にクリスマスカードを送ると、「ニュージーランドに通いつめています。リストラを何とか生き残っているのですが、いずれ退職の日がきます。そのときはニュージーランドに移住し、何か商売でもしようと思っています」という返事が返ってきました。

 「日本の人たちは、国とは別に自分たちで自立し、勝手にどんどん国際化しているのだ」と感心しました。それだけ、日本の将来がみんなにとって暗く見えるということなのかもしれませんが。会社の中での海外勤務は減少する一方、個人のレベルで海外の生活を設計する人が多くなったようです。す。
 さて、アリゾナで行うビジネスの種類、そのためのヴィザの種類ですが、日本食品店、レストラン、個人経営のナーサリーホーム(介護付老人ホーム)、モテル、アパートメント経営、建設会社などがよく話に出ます。ヴィザの種類としては、E-2(投資家)、L-1Aの適用例が多くなっています。E-2ヴィザの場合、どの位の投資額が必要かという質問がよく出ますが、これには決まった額の提示はなく、ケースにより異なるようです。最近の情報では、20万ドルレベルの投資額でナーサリーホーム経営の名目でE-2ヴィザが取得できたということです。米国人の雇用につながるという意味では、食料品店、レストラン、モテルの経営などが有利でしょう。これらのビジネスは労働集約的であり、ビジネスを開始すると同時に一定の人数を雇用する必要があります。アパートメントの経営というのは、投資額の割合に雇用人数はあまり多くないので、多少不利かもしれません。L-1Aヴィザの利用には、日本(米国からみて外国)に会社が存在し、米国に子会社・関連会社を設立し経営陣を送り込むという形態が一般的です。一見面倒に見えますが、L-1Aの有利な点は、一度本人がPRIORITY PROCESSING(優先処理手続き)を利用して特急でL-1Aを取得すると配偶者、他の家族のメンバーも比較的簡単にL-2ヴィザが取れるという点です。配偶者が働くことも許可されますので、この点も注目すべきでしょう。
モテル経営
 一つの例としてモテルの経営を挙げてみましょう。皆様もご存知のとおり、米国人は自動車で移動することを好む人々です。勿論、空の旅も迅速性、格安チケットなどもあって人々の主な移動手段ですが、まだまだ平気で一年に何度もアメリカ大陸横断や縦断を繰り返す人々が多数います。モテルというのは、これらの人々が常に利用する宿泊場所であり、一定のレベルの需要は維持されているようです。フェニックスやスコッツデールのような大きな町では小さなモテルでも購入するには100万ドル単位の投資が必要かもしれませんが、米国中の主な街道沿いの無数の小さな町には、まだまだ20万ドルから50万ドル位の価格で購入できるモテルが多数存在します。個人経営のナーサリーホームなどと同様に、モテル経営の利点は、モテルが自宅兼用施設として使用できるという点です。モテルを購入すると同時に、自分で経営する場合は、モテル付のマネジャー用アパートに自ら居住することができます。まさに「居ながらにして」ビジネスができるわけです。売値40万ドルの25室位のモテルを購入する場合、自己資金を20-30万ドル投資し、残りをローンとして設定することもできますし、全額支払って購入することもできます。いずれにしても購入と同時にその日から「日銭」が入ることになります。稼働率50%と想定しても、年間の総売上12-15万ドル位は見込める場合も多いでしょう。電気、ガス、水道、電話、ケーブルTVそのほかの経費を支払っても、年に数万ドルの利益を挙げ、家族が生計を立てることができます。モテル内にすでに住宅を確保しているため、住宅ローン、住宅購入費なども必要がなく(もちろん、余裕があれば、購入してもよいのですが)、生活費は比較的低いレベルで抑えることができます。
 渡米後、比較的短期に収入を確保できるという点、またビジネスそのものがレストランの経営などと比較すると、コックなど専門技術を必要とせず、学習期間が少なくて済むという利点もあります。
 退職後、数千万の貯金はあるものの、貯金を切り崩しながら年金生活をするという選択に魅力を感ぜず、米国に来てビジネスをしたい、しかし、あまり大きなリスクを負うことはできないと考える人にとっては、投資資金が不動産資産により裏打ちされていること、またその日から「日銭」が入るという点を考慮すると、魅力的な選択でしょう。「日本の銀行口座に3000万円預けると一年に利息がいくらもらえるか知ってる?」と尋ねられて答えに窮したのですが、「小数点以下の利率では銀行に預けても目減りするばかりです」と日本からのお客様はみなさん呆れています。3000万円銀行に預ける代わりに、小さなモテルを購入し、その投資から不動産資産を得また年に数万ドルの収入を得るシステムを設定するほうが賢い運用といえるでしょう。