ショートセール

 

今回は、最近話題になっているショートセールのお話をします。

ご存じのとおり、世の中は不景気、失業や給与が減ったこと、不動産の価格が下がったことなどにより、不動産ブームの頃に借りたローンの支払いが不履行になったり、別の州で仕事が見つかったために引っ越したい、離婚のために家を一日でも早く売りたい。。。。などなど、いわゆるショートセールを希望する理由はいろいろあるでしょう。

ショートセールとはどのようなものでしょうか。通常は、家を売ることに決めた場合は、エージェントを雇用し買い手を探してもらいますが、上記のような理由で早急に家を売る必要が生じた場合、フォークロージャーを回避するためにも、貸し手である銀行などと交渉し、手続きを省略し、通常の市場価格を下回っても早急に売ることをショートセールと呼びます。もちろん、エージェントや弁護士がショートセールの手助けをすることもあります。

今回は、ショートセールで家を売却した後、その売却価格がローンの残額より少なかった場合はどうなるのかという問題に焦点を絞ってお話してみましょう。

20万ドルのローンが残っている場合に家が20万ドル余りで売れ、エージェンシーへのコミッションを払った後にローンを全額返済できる場合は、「めでたし、めでたし」となるのですが、20万ドルのローン残高があるのに、家はショートセールで15万ドルで売れた、などという話は最近では頻繁に起こっているようです。せっかく家が売れ、ほっとしたのも束の間、もし貸し手が「残りの5万ドルを返済せよ」と迫ってきたり、問題になっている家とは別の財産を売って残額を返済せよと裁判所に訴え出たりすれば、厄介きわまりない状況になります。

アリゾナでは、このような場合に当初のローンが問題の家を購入するために借りたものであれば、このような差額を返済しなくてよい、つまり貸し手はそれ以上借り手を追及できないというルールがあります。(「Anti-Difficiency Rule」)

しかし残念ながら「良かった」と全面的に安心することはできません。「家の購入のために借りたローン」という制限があることに注意してください。借り換えをした場合はどうなるのかという疑問も当然出てきますが、判例としてはまだ確定的ではない状況のようです。20万ドルのローンを借りて家を購入したが、後に利率を低くし毎月の返済額を少なくするために、当初のローンの「借り換え時」の残高のみ借り換え(リファイナンス)たというような場合は、「家を購入するために借りたローン」とみなされるという場合もあるようですが、当初家を購入するために20万借り、後に家の価格がブームで2倍になったということで、額を増やして30万ドルに借り換えしたというような場合は、「家を購入するために借りたローン」としてAnti-Difficiency Ruleの条件を満たすことができない場合が多いようです。購入時に家の価格までフルに第一ローンと第二ローンを借りたような場合は、金額を増やして借り換えをしていない限り、両方とも上記ルールを満たすことができるようです。

このルールは、条件を満たしていれば(商業用不動産ではなく住宅である、ローンは家の購入のためのローンであったなど)、ほぼ自動的に適用されますが、ルールの条件を満たしていない場合でも、貸し手と賢明に交渉することができれば、貸し手によっては「ショートセールで家を売却した後、不足分について回収する権利を放棄する」と契約書に明言してくれるところもあるようです。業界に詳しい弁護士の話では、ウェルスファーゴ銀行はこのような権利放棄を比較的頻繁にするがバンク・オブ・アメリカはこのような権利放棄を容易にしないということでした。フォークロージャーを選択すべきか、ショートセールを選択すべきか、破産してしまった方がよいかという決定は、上記の様々な条件を十分考慮し、自動的にAnti-Difficiecyルールが適用しない場合は、貸し手と注意深く交渉し、最終的には契約の直前まで努力してみて、最終的なショートセールの契約書の詳細をチェックし、貸し手が「不足分を後に請求しない」という権利放棄を明記していない限り、安易にショートセールを選択しないようにした方がよいようです。

不足額の多寡によっても、どのような決定が有利になるか異なってきますので、全体的なバランスを注意深く計算する必要があると言えるでしょう。

住宅ローンの返済が滞ってしまうなどという経験は、誰もが避けたいと思っていますが、いろいろな不運が重なってそのような状況に陥ることはあります。大変な状況でも、絶望したり、投げ出したりせず、落ち着いて、様々な選択肢を比較し、賢明は選択をするようにしましょう。