E-コマースについて
最近インターネット上で買い物をしたり、オークション(競売)に参加したりする人が増えています。いわゆるe-コマース(電子商取引)は、コンピュータと電話線があれば家にいて買い物ができるという手軽で便利なものです。しかしこのような取引に参加して思うような結果がえられなかったり、詐欺にあう人も多くなっています。4月24日付けの「アリゾナ・リパブリック紙」によると、2000年にインターネット関連取引で詐欺にあった件数は25469件です。1999年の22009件と比較すると大部増えています。一件当たりの被害額は、1999年には310ドルでしたが、2000年になると427ドルに増えました。INTERNET FRAUD WATCHというウェブサイト情報(www.fraud.org)によると2000年のインターネット関連詐欺被害の78パーセントがオンライン・オークションでの被害でした。ウェブサイト上での詐欺が全体の82パーセント、電子メールでの詐欺が12パーセントとなっています。被害者全体の73パーセントがマネー・オーダー(郵便為替などの送金為替)による支払いとなっています。
「コンピュータをオンラインで(ある会社から)買ったのですが、全く機能しません。何回も送り返して修理をしてもらいましたが、全く機能しないまま、数ヶ月たってしまいました。どうしたら良いでしょうか」、「インターネット・オークションで買った品物が届きませんどうしたら良いでしょうか」、「品物がやっと届いたら、不良品で全く使い物になりません。どうしたら良いでしょうか」というような相談を受けることも多くなりました。ほとんどの場合が数百ドル、せいぜい千ドル位の買い物なので、たちの悪い相手でも、例え「スモールクレイム・コート(簡易裁判所)」であっても訴訟を起こすほどの額ではないし、簡単に解決できないし面倒なことになります。極端な例では、日本から同様な問い合わせを受け、問題を解決してくれるように依頼されることもあります。アリゾナ州の売り手と日本の買い手との間に起こるトラブルは太平洋を隔てているので、電話や電子メールだけのやりとりではなかなか解決せず、現地にいる弁護士に相談するという形で依頼がきます。
支払いにクレジットカードを使う
これも上記の「アリゾナ・リパブリック紙」の記事からですが、インターネット・オークションで詐欺の被害を訴えた人の数は、1999年の14,000件から2000年には10872件に減っています。しかし、これは直接的に実際に被害にあった人の数が減ったことを意味しません。クレジットカードで支払う人の数が増え、被害にあってもクレジット会社が支払いキャンセルという形で被害を補償する場合が多くなったのです。クレジットカードでの支払いは、詐欺の被害に遭ったときには被害者にとって有利な支払い方法で、eBayなども薦める支払い方法ですが、反面サイトによっては重要な情報の暗号化がなされていなかったり、不十分である場合もあるのでクレジットカード番号を簡単に電子メールなどで送ること、取引相手の質問に回答することは避けるようにという勧告にもよく出会います。便利な面もあるけれども、クレジットカード番号を相手に伝える場合には「暗号化」の有無を確かめ注意して情報を提供するようにということです。
eBay の場合
代表的なインターネット・オークションの場であるeBayについてみてみましょう。「ユーザ契約」を見ると、まず第一に気づくことはオークションの組織者であるeBayそのものは、取引の内容、売り手・買い手の身元、製品の性能、商品性保証などについて一切の責任を負わないという記述です。また売り手と買い手との間に、取引についての紛争が起こった場合にもeBayは関わらないし解決に責任を負わないとあります。またいかなる場合でも、例え賠償責任が生じた場合も、eBayは過去12ヶ月に当該メンバーがeBayに対して支払った金額または$100のうち少ない額を限度としてしか責任を負わないと明言しています。紛争に際して生じた弁護士費用なども一切責任を負わないとも規定しています。このような明確な姿勢を貫きながら、一方では紛争の解決の「場」として調停ができるシステムを提供しています。また詐欺であることが分かった場合、そのような疑いが濃い場合にはeBayはメンバーを除外することができるという条項もあります。 
売り手と買い手との間に紛争が生じないようにするために、エスクロー(第三者寄託金)システムの使用も薦めています。このシステムを使うと、買い手は売り手からオークションで競り落とした現物が届いて約束通りのものであったことを確認するまで支払いをエスクロー内に保留できます。契約通りの現物が契約条件に則って届かない場合は、支払いの停止をエスクローを管理する第三者に要請すればよいことになります。相互に遠く離れており紛争になっても解決の道が困難であるような場合(日本とアリゾナなど)是非利用したいシステムですが、実際にはあまり利用されていないようです。
実際に売り手と買い手の間で紛争が生じた場合には、どのように解決のための努力をするのでしょうか? eBayは、一定のステップを設定してこれを実行するように薦めています。まず第一に、相手側に直接電話や電子メールで連絡を取り話し合いで解決をはかること。次ぎのステップとして当事者同士の直接の話し合いで解決しない場合は、調停者が立ち会って(「電子立ち会い」)当事者間の紛争解決の手助けをします。調停は、SquarreTradeというウェブベースのオンライン無料サービスとして提供されます。調停人が実際に介入する場合には、15ドル費用がかかりますが、これはEBayから資金的支援を得て料金を低額に抑えた結果です。
それでも解決しない場合は、「連邦取引委員会」などの当局に「詐欺」の届け出を行ったり、売り手買い手それぞれの当事者が住む地域の警察・検察当局に報告するように案内しています。しかし、このような「詐欺」としての届け出には条件があります。実際のオークション終了日から30日経過するまで待ちその後60日までの期間内に被害届け出をする必要があります。その他にも取引そのものが合法的な取引であること、当該項目が額が25ドルを超える額であること、過去6ヶ月間に三回以上苦情申し立てをしていないこと、クレジット会社に届け出てクレジット会社側で保険が適用されるか確認済みであること(クレジット会社保険の適用が拒否された場合にのみ、eBay側の保険の適用の対象となる可能性が生じる)、支払いが現金によるものでないこと、運搬中の損傷でないこと、直接自分で引き取りに出かけて引き取った項目でないこと、などという条件を満たすことが必要です。このようにして正式な被害届けが提出された後は、、提出された証拠物件(保険金給付の申請書、eBayのオークションリストに掲載された記述、支払いの証拠、その他)を参照して保険が適用されるか否かの判断が下されます。
一端こじれた取引における紛争を解決するすることが容易でないことがお分かりになったことでしょう。慎重に取引することが必要ですね。一般的にインターネット上で取引する場合の注意として、先ほどご紹介しましたINTERNET FRAUD WATCHでは、自分がよく知っている会社。個人を取引相手にすること、価格、出荷の期日、条件、保証の有無など詳細にしかも明確に理解した上で、記録を保存してから取引を行うこと、eBay は過去の取引のフィードバックをメンバーから集め掲示しているのでそれらの情報を有効に活用すること、個人との取引は会社相手の取引と条件(特に法的権利の側面で)が異なることに注意すること、小切手、現金、送金為替などではなくクレジットカードで支払いをすること(セキュリティの側面を確認の上)を挙げています。
一端こじれた取引に関する紛争を解決するには、時間、労力、費用が無駄になります。どうぞみなさまも十分ご注意ください。