同性婚


連邦最高裁判所は、6月26日に同性婚に関する2つのケースについて判断を下しました。一つは同性婚を許可したカリフォルニア州の法律の実施を禁止する州民提案法8号を間接的に否定する判決、もう一つはいわゆるDOMA(Defense of Marriage Act)に関する判決でした。

カリフォルニア州民提案法8号

最高裁判所は、カリフォルニア州民提案法8号(2008年11月成立)の正当性・合法性を支持する立場のHallingsworthがこの事件を当事者として提訴する資格を有さないと判断することにより、「資格」を有する州知事および州司法長官自らがこの州民提案法8号を守るために動く意図を持たないため、以前この提案法を米国憲法違反としてその実施を差し止めた連邦地裁の判決(2010年8月)が生きることになり、実質的にこれ以上同性婚の合法化に対抗できないことになりました。

この最高裁判決は、すでに州法で同性婚を認める場合(現在12州とワシントンDC)にのみ適用されることになり、同性婚を認めていない多数の州では引き続き同性婚は実施されないという状況が続きます。つまり、今回の最高裁の判決は、米国全体で同性婚を合法とするという全国的に画一の変革を実施するものではありませんでした。事実、連邦最高裁裁判長であるロバーツは、「原告がこの事件の当事者となる資格を有さないため、最高裁もまたこの事件の実質的争点について判断を下すことができず、第九巡回控訴裁判所も同様である」と判決の中で述べています。

連邦最高裁判所はHollingsworth v. Perry (U.S. Supreme Court, No. 12-144)を取り上げ州民提案法8号が成立した結果行われたカリフォルニア州憲法修正を間接的・結果的に無効とする判決を出し、同性婚を合法とする連邦地裁の判決を支持することになりました。この州民提案法8号は、同性婚の実施を合法化したカリフォルニア州最高裁判所の判決に対抗するために提出され多数票を得て成立したものでした(2008年11月)。今回の判決は、5対4でしたが多数派はロバーツ、スカリア、ギンズバーグ、ブライヤー、ケーゲン判事であり、少数派はケネディー、トーマス、アリト、ソトマイヤー判事でした。

この事件は、連邦裁判所が事件を取り上げる決定をするまでに州最高裁判所、連邦地裁、連邦高等裁判所(第九巡回控訴裁判所)において同性婚を合法とする判断を経ていました。今回の連邦最高裁判所の判決は、これらの一連の判断に最終的結論を与えるものでした。

事件における主要な議論

1.同性婚の禁止は、米国憲法修正第14条(法の下における平等)の原理に反するものか否かという点ですが、これに直接回答する判断を下すためには、裁判所は判断について厳格な基準、中位のレベルの基準、合理的なレベルの基準の中から1つの基準を選択することになります。しかし、今回はどのレベルの判断基準を使用するのか明確に宣言しませんでした。通常は、性差に関する差別に関するケースである場合、中位レベルの基準を適用するのが例となっています。今回の判決は、正面から同性婚の禁止は米国憲法修正第14条違反であるか否かという点についての判断は下しませんでした。もし一般的原則として同性婚の禁止が米国憲法に違反するという判断を下していれば、米国の全ての州において同性婚が即時合法となったでしょう。しかし、今回の判断は、すでに州法において同性婚が合法となっている州において差別が禁止されたということであり、同性婚が違法となっている州(多数派)には直接影響が及ばないことになります。より原則的判断については現在のところ灰色ということになり、全国的な観点から見ると、ここしばらくは州により同性婚の扱いが異なるという変則的な状況のままになるでしょう。

連邦最高裁の判断を受けて、カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事およびカマラ・ハリス司法長官は州行政官らに対し即時同性婚を許可するよう指令を下しました。カリフォルニア州において同性婚の申請者に対して結婚免許書(Marriage License)が再び交付されるのは、連邦最高裁判所において今回敗訴した側が再度審理をしてくれるよう請願する機会を与えられる25日間を経過してからになるため、7月下旬からと予想されています(2013年6月26日付けAP記事)。

DOMA(1996年成立)関連判決

今回連邦最高裁判所が判決を下したケース(US v. Windsor, U.S. Supreme Court. No. 12-307)は、エディス・ウィンザーという84歳になる女性が起こした訴訟に端を発しています。この女性は44年間クララ・スパイヤーという女性と「結婚生活」を送り、実際に2007年に二人は結婚しました。エディスはクララが長年病身であったのを看病し看取りましたが、2009年にクララが亡くなった後には「結婚は女性と男性の間にのみ成立する」というDOMAの規定により「配偶者」としての遺産税控除を受けることができず、IRSに対して36万ドル以上の遺産税を納めましたが、その後これを払い戻すようにIRSに請求しても門算払いを食ったためにDOMAの規定は差別であるとして訴訟を起こしました。

オバマ大統領は、最初はDOMAを継続し守る姿勢を取りましたが、2011年2月になると、同法のセクション3(連邦法上のベネフィットは、男性と女性との間の結婚のみを対象とする、配偶者とは妻または夫とは異なる性の配偶者と規定する)は、米国憲法違反であるという立場に変わりました。議会予算局(CBO)によると、連邦法上のベネフィットは税法上、社会保障、軍におけるベネフィット、移民法上の特典などさまざまな分野にわたり1100種類以上存在するということですから、これまでの同性婚者たちに対する差別は多大であったことになります。最高裁の同法セクション3は正当な理由のない差別であり廃止されるべきであるという判決が下された後、オバマ大統領はエディスに直接電話をかけ祝福したとテレビのニュースが報道していました。今回の最高裁の判決により、同性婚の配偶者も遺産税の支払に関して差別されず一般の異性婚の場合と同様に免税措置の対象となることになりました。

今回の連邦裁判所の二つの判決(同じ5対4の判決ですが、賛成・反対票を投じた判事たちの構成は異なっている)、同性婚者の地位を上昇させるという意味では大きな前進ですが、同性婚の禁止を米国憲法違反として全面的に差別を禁止するというレベルには達していないため、州ごとに同性婚者に対する取扱いが異なるという変則的な状況をなんら変えることはせず、移民法上などさまざまな側面で今回の判決がどのような影響を与えることになるのか、今後の動きを見守りたいと思います。例えばこれまでは、米国市民の(異性)配偶者は滞在許可(VISA)の取得についてほとんど無条件と言ってよい特典を得ていましたが、今回の判決は移民法上も同性婚の配偶者に同じ特典を与えるのでしょうか?理論的には差別はできないことになり、同じ特典が与えられることになるはずですが、移民法改革法案を検討中の議会ではこの「同性婚者の配偶者VISA」特典は与えないという特別な条文を入れることが移民法改革に対して広い支持を得る手段として考案されたという報道もあります。今回の判決がどのような影響を及ぼすことになるのか大変興味深い点です。