銃に関する法

最近は記事を書いてみたいトピックや事件、法律改正・成立が山のようにあり、選ぶのが難しい位です。今回は、7月22日に上院において僅差(反対58票に対して賛成39票)で否決された銃の所持・携帯に関する法案についてお話しましょう。民主党上院議員の20名が賛成票を投じ、共和党上院議員のうち2名が反対票に回りました。

今回の法案は、成立すれば、米国内の48州に対して、自州で許可されていない場合でも他州の許可を敷衍して自州内で銃を隠して携帯する許可を強制されるという結果を生じるもので、全米の市長協会は400人の市長を代表して「反対」意見を表明していました。賛成派は誰が銃を携帯しているか分らなくなるために犯罪者を牽制できるところからこのような法律の成立により犯罪を減らすことができると主張し、反対派は当該法律の成立は誰も彼も銃を所持することを奨励し犯罪や銃を使用した暴力事件を増やす結果になると主張していました。この法律の成立は、銃の携帯について最も規則が緩い州の法律を強制的に、より規制が厳しい州に持ち込むことになっていたはずで、武器を所持することを米国憲法に則った市民の基本的権利とてみなすいわゆる「Gun Rights」派が、銃規制「Gun Control」を擁護またはより強化しようとする人々に対してもう一つの勝利を勝ち取ることを意味していました。

 同法案反対派を代表するブルーンバーグニューヨーク市長は、反対キャンペーンの中で「銃を持っていればより安全であるという証拠はなく、家に銃がある場合、家族のメンバーの誰かが殺される確率は20倍高くなる。われわれは警官や一般市民を保護しなければならないのだ。あまりにも多くの銃が所持されることを許可できない。各州がそれぞれ銃規制についての法を独自に定めるべきである」と述べています(CNNPolitics.com 2009年7月22日版)。警察関連組織も反対派に回っています。

 サウスダコタ州を代表するジョン・スーン(John Thune)上院議員と共に同法案の提案者の一人となったワイオミング州ジョン・バラッソ(John Barrasso)上院議員は、銃所持のライセンス(許可証)は、自動車運転免許証と同様に全米すべての州で有効であるべきであると述べています(同上)。

現在は、全米の35州において一定の犯罪で有罪になった者が銃を隠して携帯することを許していません(ニューヨークタイムス、2009年7月20日付社説)。また少なくとも31州においてはアルコールで問題を起こしたことがある者に銃所有や隠して銃を携帯することを許していませんし、銃を所有する許可を得る前に銃の安全についてのプログラム講習を義務付けています(ワシントンポスト、2009年7月21日付Shailagh Murrayによる記事)。

国立公園内で隠して銃を携帯することを許可する法律の成立

今年5月には、民主党上院議員のうち27名の賛成票を得て賛成67票対反対29票で国立公園内における銃の携帯に関する規制を緩和する法律修正案が上院を通過しました(ワシントンポスト、2009年7月21日付Shailagh Murrayによる記事およびCNNPolitics.com 2009年5月20日付記事)。同様な法案は下院を賛成279票対反対147票で通過、後にオバマ大統領が署名し正式に法律として成立しました。この法律の成立により、ある州で銃を隠して携帯する許可を有する者は、国立公園内でも同様に銃を隠して携帯できることになりました。この法律の成立は、ジョージW.ブッシュ大統領が任期切れの直前に許可した同様な国立公園内における銃携帯許可に対して今年3月に裁判所が出した「不許可」 の決定を逆転させようとする試みの成功を意味していました(CNNPolitics.com、2009年5月20日付記事)。

一般のイメージに反し、オバマ大統領の下で民主党政権が発足し、上下院ともに民主党勢力が多数派を占めるようになった後にも、いわゆるGun Lobbyの活躍と一部の民主党議員たちの協力は目覚ましく、「Gun Rights」派はいくつかの大きな勝利を得てきました。それにしても銃が好きな国だ、というのが感想でしょうか。今後の成り行きが注目されます。