盆踊り


皆様、暑い夏を無事にお過ごしでしょうか。
お子様の夏休み中日本に帰国なさっている方々も多いことでしょう。

今回は、7月21日と22日に開催されたカリフォルニア州マウンテンビュー市の仏教会のお盆の祭りについてご紹介します。この祭りは仏教会の会員たちが過去50年にわたり資金集めのために催してきたということです。数十の出店では、カキ氷、金魚すくい、照り焼きチキンやビーフ、巻きすし、稲荷すし、おはぎ、手芸品、色とりどりに咲く花類などが売られ、驚いたことにそれらの店を切り盛りしているのは全て仏教会の会員たちでした。中心になって働いているのは60−70代の男女そしてその周りには若者たちが立ち働いていました。

このような出店の中でも、カキ氷の店は大人気で私も知り合いのご縁で氷パッキングのお手伝いを少ししましたが、休憩時間などに話をすることができた60代、70代、80代の日系人の女性たちは会話は英語でしたがなぜか日本に帰ったときによくお話する長野県大町市の同世代の女性たちに似ているのに本当に驚きました。長年にわたり、この出店を中心になって切り盛りしてきたのです。ある70代の女性は、朝は5時くらいから現場に出て夜の8時ごろに「ちょっと疲れたので家に帰ります」と帰って行かれました。カキ氷の店は、ただ氷を削ってシロップをかけ売るだけと単純に考えるとそれほど大変ではないかと思えますが、これがまた千人単位の人たちに出すとなれば生半可ではありません。シロップを別の州の卸し問屋から買う手配をすることから、大型の氷削り器を手入れして問題なく使える状態に保つこと、氷を問屋から買うこと(途中で足りなくなり追加注文もしました)、Cash Registerはハイテクを駆使したiPad用Cash Register ソフトを使用。2列に並んだお客さんは常に50−60人は並んでいる状態でした。出店の中では氷をパックする係りが2人か3人、シロップ、アイスクリームやクリームをかける係りが常に3,4人、Cash Register係りが常に2人、氷を削る係りが常に2人、シロップの補充係りも常に2人待機、そのほかに予備として2,3人が店の外に待機、これらの人たちは2日間ローテーションを組み朝から晩までカキ氷を売り続けました。

他のお店をのぞくと、照り焼きチキンを焼いているおじさんたち、おすしを売っているおばさんたち。。。とみなずっと頑張っています。2月に行われたフェニックスの祭りの光景を思い出し、比べてしまいました。一番大きな相違点は、食べ物を売る店など全てが会員のボランティアで運営されているところです。フェニックスの祭りはレストランなどベンダーが来ていろいろな食べ物や飲み物を売っていましたが、マウンテンビューの祭りではベンダーは一切見られませんでした。ボランティアとして朝から晩までローテーションを組んで働く人々、責任者としてローテーションに関係なくずっと店に詰めている人たちをみて、なんとも驚異的な組織力、実行力、持続力に脱帽しました。

日曜の夕方は、ライブのバンドと歌手たち(ボランティア)の演奏で盆踊りが行われました。これもまた多くの人が本格的に浴衣を着て舞台の上で踊る人たちとともに大きな輪を描いて楽しそうに踊っていました。

フェニックスの祭りと比較すると、ボランティアの人たちも踊る人たちも、また単に祭りに遊びにくる人たちも圧倒的に日系人か東洋系の人たちが多いという印象でした。コスプレ風の若者たちもほとんど見られず、日本の普通の町のお祭りに近い感じでした。氷パッキングの合間にお話できた女性たちはほとんどが3世、4世の日系人の方たちでした。話もはずみ、大きな声で笑ったりする姿はなんだか日本のあちこちに見られるおばさん、おばあさんたちと雰囲気がよく似ているので不思議な感じでした。日本から移民してきた方たちから3世代後の人たちで日本語は話せなず英語の会話なのに、とても懐かしい感じがしました。自分たちが属す仏教会というコミュニティーのために身を粉にして働く姿はこれも日本の同世代の女性たちの姿に重なるものがありました。

日本からハワイや米国本土に移民が始まってから150年くらい経過して、マウンテンビュー市というハイテクの中心地シリコンバレーの真ん中で「日本の村」に出会ったという印象でした。そして、しっかりと自分たちのコミュニティーを守り続けている人々をうらやましくも思いました。日本語という言語は使わなくなり、英語で暮らしているのに、行動様式、お互いへの関わり合い方の中に「日本の共同体」を生かし続けているのでしょうか。こんな風にお互いが係わり合い、支えあうことができるコミュニティーがあったら、さびしく孤独に感じる人も少ないのでないかとも思いました。お話をする機会があった80歳の女性は、一見60歳くらいに見えました。元気と活力に溢れていて、「まだ仕事をしてるの。ベビーシッターをしているのよ。もう止めたいと思っても、次から次へと赤ん坊を連れてくる人がいるので止められないの」と大笑いをしていました。底抜けの明るさを感じる一瞬でした。頼まれる方も頼む方も幸せだなとも思いました。そのような関係もコミュニティーが機能していて人間関係が豊かで相互の信頼感がなければありえません。

年配の人たちが中心になってボランティア活動を支えているので、将来このような活動は生き残ることができるだろうかと不安にも思いましたが、多くの若者たちが生き生きと参加している姿も見られ、カキ氷の出店の中心人物の女性の息子さんは「この店は将来は僕が跡継ぎになるだろう」と宣言していたので、「ああ、これなら次世代も大丈夫」と思いました。

マウンテンビュー市の仏教会のお盆祭りは、感慨深い、楽しい経験でした。