今回は、雇用ベースの永住許可(グリーンカード)取得についてお話しましょう。特に通常一般の人(スキルを有する労働者、専門職の者)が関わる頻度の高い雇用ベース(Employment Based)のカテゴリー3について最近の法改正の影響を見てみましょう。このカテゴリーのVISAは、LABOR CERTIFICATION(LC:就労証明書)を必要としますが、最近の法改正でこのLCの申請方法が大幅に変更されました。2004年12月27日付けで法律が改正され2005年3月28日に新しい法律が実施されました。これにより新たに「Program Electronic Review Management (PERM)」というシステムが導入され、それ以前の伝統的なLCの過程とRIRと呼ばれる「特急」過程がPERMに一本化されました。過去における伝統的なCLの過程では、労働省の監督の下に募集を行い、同省の監督官が承認した後に移民局(USCIS)への申請が可能となりました。RIRでは、先に6ヶ月ほど募集活動を行いその結果を事後報告するという形で労働省の監督官から承認を得た後に同じく移民局に永住許可の申請を行いました。後者の場合に必要な時間は、前者の場合に比較すると相当に短縮されました。
 改正法によるPERM申請は、伝統的なCL申請過程とRIRのCL申請過程の中間的な方法と考えることができます。PERM申請では、労働省は、さらにAUDIT(監査)が必要な場合を除き、電子申請後45−60日位の期間に申請処理が終了するとしています。申請が承認されると、労働省から郵便書面により弁護士の住所に通知が来ます。この通知をもって労働省の承認(LC)の証拠としてUSCISにI-140申請を行うことができます。雇用者、代理人となる弁護士、申請の利益を受ける者がそれぞれこのLCに署名し、I-140申請書と共にUSCISに送付します。一旦LCが発行されても、労働省はその後期間の限定なく、いつでも審査官の判断でLCを撤回することができ、これに対して、雇用者の側では募集過程の記録や応募記録を
5年間にわたり保存することが義務付けられています。
 PERMシステムで新たに要求される項目はいくつかありますが、これまでと比較して最も大きく変更となった点は、永住許可の申請を受益者(被雇用者)のために行う雇用主がPERMオンライン・システムを使用登録できる点です。この登録は、申請を行う雇用者の代理人である弁護士ではなく、雇用者本人(会社の場合の当該会社)がwww.plc.doleta.govというホームページを使って自ら行うことが要求されています。  この登録のためには、それぞれの申請会社が、当該会社の名称、住所、納税者番号、申請の受益者である者(従業員)の名称と連絡先を始めとする情報を提供します。これらの情報を提供すると、労働省が、同情報を確認し、登録可であることを調べた後に、登録を認め「雇用者ユーザー名、パスワードとPIN番号」をくれます。申請各会社は、これらの情報を労働省が確認しない限りUSCISへの申請を開始することができません。申請書の「Employer Contact Information」という欄には通常、代理人(弁護士)ではなく、実際に申請を行う会社に雇用されている従業員の名前と住所、連絡先電話番号を入れます。登録完了後は、申請情報にアクセスできる者として代理人弁護士の名前を提供できます。上記の過程を完了すると、代理人弁護士がUSCISへの申請の準備と実際の申請書提出作業を代行できるようになります。
実際に要求される募集行動
従業員のために永住許可を申請する雇用者は、まず、州の労働省の出先であるState Workforce Agency (SWA)にJOB ORDER(募集要項)を提出します。次に、雇用者は2社の全国新聞に2日曜日を含む募集広告を出します。専門職(少なくとも学士号を有する者)の募集である場合は、専門領域の雑誌類への広告により、新聞広告に代えることもできます。最初の2ステップである、JOB ORDERと新聞広告については、永住許可(グリーンカード)申請書を提出する日付の少なくとも180日から30日前までに完了していなければなりません。上記の2つのステップに続いて、申請者(会社)は、下記のリスト項目のうち2つのステップを選択して実施します。
1. JOB FAIRでの募集情報提供
2. 雇用者のホームページに募集情報を開示
3. 雇用者のホームページ以外のホームページで募集通知が検索できるようにする
4. 大学などのキャンパスにおける募集活動
5. 民間の業界または専門家組織への募集活動
6. 民間の人材紹介・斡旋会社の利用
7. 既存の従業員からの紹介を求めるプログラム活動(インセンティブ付き)
8. 大学などの雇用紹介事務所への照会
9. 地域紙、民族新聞などへの広告
10. ラジオおよびテレビ広告
 上記の広告・募集活動の他に、雇用者は社内の雇用の対象となる場所において10営業日間連続して広告を出すことを求められます。内部通知の方法としては、新たに社内のメディア(イントラネットなど)を利用して募集の事実を行うことが求められます。
米国市民・永住者、そのほか就労許可VISAを有する者の雇用を拒否する基準
  これまでにLCの過程とPERMとの重要な相違点のひとつは、後者が、雇用者が永住申請を行う際の受益者ではない他の志願者の雇用を拒絶できる基準をより厳格にした点です。PERMシステムにおいても、広告などの結果応募してくる志願者の雇用を拒絶することはできますが、一定の合理的な範囲の期間内に当該志願者を訓練することが不可能であることを示さない限り拒絶することがより困難になりました。
募集活動の記録を残す努力
 PERMシステムの下では、雇用者は申請書とともに雇用募集努力の記録を提出する必要はなくなりました。しかし、いつでもAUDITされる可能性があり、AUDITの結果、雇用努力の記録の提出を求められた場合に30日以内にそれらの記録を提出する必要があるため、結果的には最初から雇用募集努力の記録を報告書として残す必要が生じます。この報告書の内容としては、募集ステップとその実施結果の説明、雇用された者の人数、米国市民・永住者・その他就業VISAを所持する者の中で雇用を拒否された者たちについての拒否の理由などを含みます。
プライオリティ日付
 PERMシステムの下では、オンラインで提出された申請書の提出日がプライオリティー日付となります。郵便による申請書の提出の場合には、労働省が最初に当該申請書を受領した日がプライオリティー日付となります。
 今回の改正で、雇用ベースによる永住許可申請は、これまでに以上に複雑になりました。JOB ORDERを提出する直前から180日以内に雇用者が達成しなければならない項目が多く、タイミングよく全てを進めて行く必要があります。全体的な印象としては、今回の改善で、スムーズに運ぶケースでは今までより申請手続きが迅速になった部分もあると思われますが、難しいケースの場合には、タイミングよく募集活動を展開すること困難な場合もあり、これまでのRIR過程以上に煩雑な努力を必要とする結果となることもあるでしょう。