有権者の行動


先回は、Voter ID法と選挙の関連について書きましたが、今回は実際の有権者の行動についてEthnic Group(民族別)毎の違いを見てみました。

Jonnathan Chaitの「2012 or Never」という記事(New York, 2012年2月26日)によると、4年毎の大統領選挙に際し、毎回少数民族(非白人)票は2パーセントづつ増大しているということで、このような有権者の間の白人系・非白人系の比率の変化により、かつては完全に共和党が多数派を占めたいわゆる赤い州であったコロラド州、ネバダ州、およびアリゾナ州が紫色(選挙結果がどちらにも転ぶ可能性がある)の州になりました。Chaitは2020年までに非白人系の有権者は、2008年には四分の一から三分の一に増加し、今から30年後、つまり2042年頃には非白人の有権者が多数派になると推定しています。10日ほど前のことでしょうか、米国で出生する子供たちの50パーセント以上が少数民族(非白人)の子供たちであるというニュースが発表されたことを憶えている方々も多いでしょう。これまでの政党支持の傾向としては少数民族系の人々は、一般に民主党支持者が多いという結果になっています。長期的な将来における政党支持率と各民族系グループとの関係は、当然変化もするでしょうし、どのような比率になるのか不明です。しかし、このような人口動態の変化と諸州におけるVoter ID法の推進とは深い関わりを持っているように思われます。

上記は、先回の記事にも引用した人口動態の変化についての情報です。もちろん人口構成の変化は長期的には選挙結果に大きな影響を及ぼすことになるであろうと予測できますが、それぞれの人種別、民族別、文化別のグループがどのような実際の投票行動をとるのかということも選挙結果に大きな影響を及ぼします。

今回の記事は、この夏フェニックス周辺で大統領選挙の向けてオバマキャンペーンでボランティアをしている娘が書いた小さな記事に引用された統計データ(INFOGRAPHICDESIGNBY COLUMN FIVE)を使って書かれました。

今日の報道で「えっ」と一瞬耳を疑ったのは「下院議長であるボーナー氏が今回の大統領選挙で少数民族が投票しないとよいと思う」と言ったという記事でした。実際には「経済状況が悪いので(伝統的に共和党には投票しない少数民族の人々)は、オバマ大統領にも投票しないだろう。。。つまり棄権するだろう」というような主旨のことを言ったようですが、興味深い発言ではあります。選挙の結果というのは、人口構成とそれぞれの民族の投票行動、そして実際に投票する有権者の割合という複数の要素が絡まって決まるものでしょう。
上記の統計によると、一般的に女性は男性より高い率で投票します。実際に投票する有権者の割合は、白人66.1%、黒人64.7、ヒスパニック49.9%、アジア系47.6%、年齢別に見ると、 14−24歳のグループでは48.5%、25−34歳のグループでは57%、35−44歳のグループでは62.8%、45−54歳のグループでは67.4%、55−64歳のグループでは71.5%、65−74歳のグループでは72.4%、75歳以上では67.8%の有権者が実際に投票します。私たち日系人はアジア系グループに入るので、投票率は47.6%、つまり半分以下ということになります。このような行動様式を説明するための十分な分析資料にはまだ出会ったことがありませんが、何度か中国人のビジネスマンと話をしていて、「政治には関わりあいたくない、ビジネスのためにはどちらの政党にも肩入れしたくない」と発言していた人々がいたことを思い出します。
もともと有権者の半分しか選挙において投票して来なかったとすると、先回の記事で取り上げた「Voter ID法」による少数民族有権者の投票行動への妨害はどのような結果をもたらすでしょうか。実際にこれらの要因がどのように具体的に絡み合いどのような選挙結果をもたらすのか分析するのは至難の業でしょう。大統領選挙が終了した後でこのような分析を見ることができるものか期待しています。アリゾナ州でも日々オバマキャンペーン、民主党、MOVEONなどのグループが有権者登録の運動を繰り広げています。先回の選挙時と比較して数万のレベルで有権者登録者数が増加しているということですが、その数を実際の投票行動につなげることができるでしょうか?上記の分析データから見ると、小数民族、特にヒスパニックとアジア系の投票者たちまた若者たちのうち実際に投票する者の数を増やすことができれば選挙結果に大きな影響が出るでしょう。
大統領選挙まで2ヶ月余りと迫ってきました。今後も様々な動きがあることでしょう。目を見開いて見守って行きましょう。