不法移民の子供たち


今回は、不法移民の子供たちが民間契約業者が運営する刑務所に類似した施設に強制的に収容されていることに関してカリフォルニア州連邦地裁(ロサンジェルス)のGee判事が先月下した判決について考えてみましょう。
(CINDY CARCAMO記者著「Judge orders prompt release of immigrant children from detention」、ロサンジェルス・タイムス2015年8月22日付記事参照)

みなさまの中には、昨年多くの子供たちがメキシコ国境を越え米国に入国しようとして移民局により収監されたこと、カリフォルニア州のサンディエゴやロサンジェルス付近の町に収容されることになった不法移民の人たちが入ってくることを実力で阻止しようとする住民の一部がデモする様子がテレビのニュースで映し出されたシーンなどを記憶していらっしゃる方たちも多いことでしょう。
これらの子供たちの多くが、主として中米にあるそれぞれの母国から暴力的状況を避けるため、また米国内にいる親戚(多くの場合が親)と共に暮らすことなどを夢みて、長い道のりを困難を乗り越えて旅した後米国内に入国しようとしました。昨年メキシコとの国境地帯で単身で不法入国した子供たちの数は68000人を超えました。収監された後この子供たちはどうなったのでしょうか。

これらの子供たちの多くは、現在、単身または親(主として母親)と共に刑務所と限りなく似た施設に収容されています。今回のGee判事の判決は、これらの子供たちを大人用刑務所のような施設に長期にわたり収容することは先の類似の裁判に際して政府当局が裁判所から和解の条件1として与えられた最低条件を備えた施設の要件を満たしていないため、これらの施設にこれらの子どもたちを収容しておくことは不適切であり、10月23日までに釈放すべきであるという命令を伴うものでした。当該和解条件の一つは、18歳未満の子供たちを不法移民を収監する施設などのに72時間以上収監してはならないというものでした。現在これらの施設(テキサス州に2施設、ペンシルバニア州に1施設)に収用されている親と子、単身の子供たちは総数で1400人とされています。実際には、アリゾナ州フェニックスなどにもこれらの子供たちが収容されている施設は存在します。

今回の判決がもたらす結果
今回のGee判事の判決は実際にはどのような結果をもたらすでしょうか。子供たちが10月23日までに釈放されるであろうと予想できないと考えるのが一般的です。政府当局は、今回のGee判事の判決に合意しておらず、控訴することが予想されるからです。つまり、控訴審の判決が出るまでは現状維持の状況が続く可能性が大です。
上記の施設に収容されているのは親(主として母親)と共にいる子たちと単身の子供たちですが、Gee 判事の命令が子供たちのみを釈放せよと命令しているのかまたは親子で収容されている場合は共に釈放し親子が共に生活できるようにすべきであると命令しているのか、現時点では不明瞭です。もし子供たちのみを釈放するという事態になれば、今度は親子を引き裂き別居させる、また里親や別の「より条件のよい」収容先を必要とするという事態を招くわけであり、子供たちはさらにひどいトラウマを経験しなければならなくなります。
現在子供たちが収容されている施設における問題点としては、子供たちまたは親の多くがトラウマの経験から精神疾患に悩むという状況にもかかわらず、スペイン語を話すカウンセラーがほとんど皆無であり、また医療などに関しても不適切であり、子供たちが適正な医療措置を受けられないなどが挙げられています。小さな子供に対して大人用の薬物を摂取させ、子供が病気になってしまったなどという例もあるようです。弁護士の支援を受けることが困難であることなども問題の一つです。刑務所のような施設であり、子供たちは義務教育を受けるという点でもハンディキャップを負っています。今度の成り行きが注目されます。
注1)
(Flores合意と呼ばれる1997年に起きた訴訟にかかわる和解のための政府当局と裁判所との合意。この合意は、亡命することを求める子供たちまたは不法に米国に滞在する子供たちを収容する施設が満たさなければならない要件を定めている)